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運動単位

運動単位とは、1つの運動神経と、それによって支配されるすべての筋線維のことをいいます。1個の運動神経の興奮によって、その運動単位に含まれるすべての筋線維が収縮します。

 

筋肉を収縮させるためには、筋線維に脳や脊髄といった体の中枢部からの命令を伝えなければなりません。

そのため、運動神経は中枢からの命令を電気化学的信号という形で、インパルスという神経線維を伝わる活動電位を伝えます。

 

運動神経の末端は通常、多数に枝分かれしており、1つの運動神経が複数の筋線維を支配しています。

 

1つの運動神経が支配する筋線維の数が少なければ少ないほど精密な動きができます。たとえば、眼球の精密な動きをコントロールしなければならない目の筋では、1つの運動神経が筋線維1本のみを支配していたりする一方、太腿前部の筋肉であり、精密な動きを必要としない大腿四頭筋では、数百本の筋線維が1本の運動神経に支配されています。

 

筋線維は、運動神経より伝えられる活動電位(電流)によって直接筋線維を興奮させるのではなく、化学物質の力を借りて筋線維を興奮させます。

 

神経細胞の末端に活動電位が伝わると、神経伝達物質であるアセチルコリンが放出されて、神経と筋がつながっている部分である神経筋接合部に拡散し、筋鞘と呼ばれる筋線維を覆う膜のようなものに興奮が起きます。

 

放出されたアセチルコリンが充分な量であれば、筋鞘に活動電位が生じ、筋線維が収縮します。このとき、運動単位のすべての筋線維が同時に収縮して力を発揮し、一部の筋線維だけが収縮するようなことはありません。また、活動電位が大きいからといって、収縮力が強くなることもありません。

このように、筋収縮が、筋線維の活動電位が閾値(境目となる値)に達する、または超えたときのみにおこり、ある運動単位が支配するすべての筋線維が同時に収縮して力を発揮する法則を全か無の法則いいます。つまり、筋線維の収縮は、100%収縮するか、しないかしかなく、8割の力で収縮や、運動単位の半分のみ収縮といった中途半端な収縮はしないのです。ピストルの引き金を引けば弾が発射されるというようなイメージをもってもらうとわかりやすいと思います。

 

では、どのように筋収縮力の調節が行われるかというと、それは、発火頻度(単位時間あたりの活動電位の数)の調節と運動単位の動員数の調節によって行われます。

 

発火頻度の調節については、運動単位が一度だけ発火(神経細胞の膜電位の急激な変化)して起こる単収縮では発揮される力が弱く、発火頻度が高くなって、単収縮が加重されると発揮される力が大きくなります。発火頻度の調節は、一般に手などの小さな筋で重要です。小さな筋では、発揮される力が小さくても、その筋のほとんどの運動単位は発火していますが、頻度が低いのです。そこで、個々の運動単位の発火頻度の上昇により、筋全体の発揮する力を大きくします。

 

一方、運動単位動員数の調節は、発火する運動単位の数を変えることによって行われます。大腿部などの大きな筋が活動するときは、発火頻度の間隔が短すぎて単収縮が融合する「強縮」に近い頻度で運動単位が活動しているため、さらに大きな力を発揮するためには、動員する運動単位を増やす必要があります。動員される運動単位のタイプはその運動の特徴により決まります。

 

1つの運動単位はすべて同じタイプの筋線維で構成されているので、運動単位のタイプはすなわち筋線維のタイプにあてはめることができます。

 

筋線維のタイプは単収縮に要する時間によって、遅筋線維速筋線維の2つに大きく分類されます。

 

速筋の運動単位は力発揮に要する時間は短いが、弛緩も急速に起こるため、単収縮の時間が短いのです。これに対して、遅筋の運動単位は力の立ち上がり、弛緩ともに遅く、単収縮の時間が長いのです。

 

そして、遅筋線維と速筋線維の分類には、組織化学的染色がしばしば用いられます。これにより、タイプⅠ(遅筋線維)、タイプⅡa(速筋線維)、タイプⅡb(Ⅱxとされることもある、速筋線維)に分類されます。

 

タイプⅠ、タイプⅡの筋線維の違いは、筋収縮のエネルギーの供給、疲労耐性にも現れます。タイプⅠ線維は効率がよく、疲労しにくく、有酸素的なエネルギー供給が高いが、無酸素的なパワーが低いため、筋収縮スピードは遅いです。

 

一方、タイプⅡ線維(タイプⅡb)は、反対の性質があります。つまり、効率が悪く、疲労しやすく、有酸素的なエネルギー供給が低く、速い筋収縮が可能で、無酸素的パワーが高いです。

 

上記の中間にあたるのが、タイプⅡa線維です。この線維はタイプⅡb線維に比べて有酸素性代謝に優れ、筋周囲を取り囲む毛細血管が多いため、疲労しにくいです。

 

そして、筋収縮力発揮のための運動単位の動員は、原則として、まずはサイズが小さく、動員閾値の低い遅筋線維の運動単位から優先的に動員され、筋力発揮レベルの増 大とともにサイズの大きな速筋線維の運動単位が付加的に動員されていきます。この原則をサイズの原理といいます。例外として、伸張性筋収縮やクイックリフトなどの場合には、この原則に反して速筋線維から優先的に動員されます。




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