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筋力発揮に関するバイオメカニクス的要素

筋力の発揮には、多数のバイオメカニクス的要素が関係してきます。ちなみに、バイオメカニクスとは、生物の構造や運動を力学的に探求したり、その結果を応用することを目的とした学問のことをいいます。生体力学あるいは生物力学などと訳されることもあります。

 

神経制御筋の横断面積筋線維の配列筋長関節角度筋収縮速度関節の角速度体格などが挙げられます。以下では、それぞれについて説明します。

 

神経制御についていうと、一般に筋力増大の条件として、①収縮する運動単位の増加、②大きな運動単位の動員、③発火頻度の上昇などが挙げられます。トレーニングをはじめたばかりのころの筋力の増大は、筋肉が大きくなるよりも、現在ついている筋肉でより大きな力を発揮できる方法を脳が学習するという神経の適応によっておこります。この神経の適応がある程度済めば、筋力を増大させるために、筋肥大をおこすようになっていきます。車でイメージするなら、まず運転の仕方がうまくなるにつれて、車のスピードが上がりますが、運転技術が成熟すると、車のスピードを上げるためにパーツ交換がされるようになってくるイメージです。

 

筋の横断面積については、筋の発揮する力は、ほかの条件が等しければ筋量より、筋の横断面積との関係が強いです。筋肉が多いより太いほうがより大きな力を発揮できるのです。

 

筋線維の配列についていうと、筋の最大収縮によって発揮される力は、筋の横断面積に対して16~100N/c㎡とされています。これほど幅がある理由としては、筋の長軸に対するサルコメアの配列が挙げられます。羽状筋では、筋線維がに対して斜めに配列され、羽のような形状となっています。筋の起始と停止を結んだ線と、筋線維との角度を羽状角と呼び、0度は羽状角がない状態を意味します。たとえば、紡錘状筋には羽状角がありません。

 

人体の筋の多くは羽状筋ですが、羽状角が15度を超える筋は少ないです。1つの筋の羽状角は一定ではありませんし、収縮するにつれて羽状角は大きくなります。したがって、横断面積が同じであれば、羽状角の大きさにより、筋力発揮や収縮速度に違いが表れます。

 

羽状角が大きい筋の場合、横断面に並列に存在するサルコメア数が多いので、筋力発揮に有利になるが、直列に連なるサルコメア数が少ないので収縮速度については不利になります。羽状筋とその他の筋を比べると、羽状筋は特に筋長の限界付近における高速度での筋力発揮能力に優れている一方、等尺性、伸張性、もしくは、低速度での短縮性の筋力発揮に不利になることがあるでしょう。

筋長についていうと、筋が静止長にあるときは、アクチンフィラメントとミオシンフィラメントが交互に並び、結合に利用することができるクロスブリッジが最大数となるため、筋が発揮できる力が最大となります。静止長とは、筋肉が伸びても縮んでもいない状態であり、そのときの長さのことをいいます。これは自然長ともいい、例として、こぶしを握ったときに軽く肘が曲がった状態になることが挙げられます。筋が静止長よりも大きく引き伸ばされた状態では、ミオシンフィラメントとアクチンフィラメントの重なる割合が減少し、結合可能なクロスブリッジの数が減少するため、静止長と比べて発揮できる力は小さくなります。また、筋が収縮して静止長よりも短くなった状態では、アクチンフィラメント同士が重なり合ってしまうので、この場合も利用可能なクロスブリッジ数が減少し、発揮される力は小さくなります。

 

関節角度については、身体運動は、直線的な動作も含めて、実は関節まわりの回転運動に起こっていて、発揮された筋力はトルクとして現れます。トルク値が大きいということは、関節に作用した筋力が四肢または身体の一部を回転させる働きが大きいということを表します。関節に加わるトルクは、関節角度によって変化します。たとえば、アームカールをしているときに、肘の角度によってウェイトの持ち上げやすさが変わることが挙げられます。

 

筋収縮速度については、収縮速度が速いほど発揮できる力は低下するという関係が、研究により示されているらしいです。しかし、僕は、収縮速度早いほど発揮できる力は逆に大きくなるんではないかなと思います。わかりやすい言い方をすると、発揮している力が大きいほど、収縮速度は実は速いんだと思います。たとえば、でこピンが挙げられます。実際やってみるとわかるのですが、強い力を加えていたほうがでこピンの速度は増します。

 

関節の角速度については、筋が最大の力を発揮できるのは伸張性活動であると言われています。ただ、これにも僕は疑問があります。というのは、伸張性活動というのは、負荷が発揮する力よりも大きいからそういう「状況」になってしまっているのであり、逆に、短縮性活動は、負荷が、発揮する力よりも小さいからそのような「状況」になっているだけであると思います。筋肉は縮むことしかできないので、自分の最大筋収縮力以上の負荷が筋肉に対してかけられている場合、負荷に勝つことはできないが、負荷に抵抗することはできるのです。そして、筋収縮力以上の負荷に抵抗しようとすれば、発揮されうるすべての収縮力が発揮されるのは当然なのです。その結果としての状況が、収縮力が負荷に負けてしまって徐々に筋肉が引き伸ばされていくという伸張性筋活動なのです。

 

体格については、ほかの条件が一定であれば、身体の大きい人よりも小さい人のほうが体重あたりの筋力が大きいとされています。それは、筋の最大収縮力は横断面積、すなわち長さの2乗に比例するのに対し、筋重量は筋量、すなわち長さの3乗に比例するためと説明されます。このため、体格が大きくなった場合、筋力の向上より体重増加のほうが大きく、身体組成が一定であれば、小さい選手のほうが体重あたりの筋力は高いことになります。




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